コンクリート構造物はどのようにつくられるか

コンクリート構造物には無筋コンクリート、鉄筋コンクリート、プレキャストコンクリートなどの種類があります。構造物によって必要となる工事はさまざまですが、大別すると基礎工事と躯体工事、仕上工事に分類されます。
最初に行われるのが基礎工事です。これは構造物を支える土台をつくるための工事全般を指し、具体的には建設地の地盤を整える土工事や杭を打ち込む地業工事などが該当します。

基礎工事によって構造物の土台ができあがったら、構造物そのものをつくる躯体工事へと進みます。鉄筋コンクリート構造物の場合、構造物の骨組みをつくる鉄筋工事、コンクリートを流し込むための型枠を設置する型枠工事、型枠どおりにコンクリートを固めるコンクリート工事などがあります。こうして構造物が完成したら、最後に防水工事や設備工事、塗装工事などを行います。これらを総称して仕上工事といいます。

コンクリートは地盤に埋め込む杭などにも活用されていますが、主な用途は当然ながらコンクリート工事といえます。ただし、コンクリート工事を成功させるには鉄筋工事や型枠工事が適切に実施されていることが大前提です。そのため、コンクリートの施工では、コンクリート工事だけでなく鉄筋工事や型枠工事を含めて考える必要があります。

コンクリートの施工の概要

施工計画と現場説明会

コンクリートの施工において最初に行うのは施工計画の立案です。予算や工期などの条件面、コンクリートの品質、施工の具体的方法、施工体制などについて、発注者からの要望をもとに発注者や工事監理者、施工業者などの間で詰めていきます。
施工計画が確定したら現場説明会を実施して、工事関係者全員に内容を周知させます。構造物の規模によって工事に関わる人数が異なりますが、いずれの場合でも周知が徹底できていないと施工不良や品質不良などが生じる原因となります。各工程における留意事項や注意事項などは全員が把握しいておくようにする必要があります。

施工現場での工程

施工内容を工事関係者に共有できたら、本格的な施工工程に移ります。まず実施するのは、鉄筋コンクリート構造物の場合は鉄筋工事です。鉄筋は構造物の骨組みとなるので構造物自体の耐久性に大きな影響をおよぼします。
鉄筋が組まれたら、次は型枠工事です。設置した型枠の中にコンクリートを流し込んで必要とする形状へと成形するため、型枠の変形は絶対に避けなければなりません。また、流し込んだコンクリートが型枠内の隅々まで行きわたるように考慮して、型枠を組み立てることも重要です。

型枠が完成したら、コンクリートを流し込んで固めていく工程です。これを打設といいます。使用するレディーミクストコンクリートは打設日に受け取り、受け入れ検査を実施して品質に問題がなければそのまますぐに使用します。レディーミクストコンクリートは時間経過とともに固まっていき品質に影響をおよぼすため、運搬時間などはJISで規定されています。
打設を大きく分けると、打込み(レディーミクストコンクリートを流し込む作業)と締固め(型枠内にレディーミクストコンクリートを行きわたらせる作業)です。よほど小規模の構造物でない限り、1日ですべての打設を済ませるのは不可能です。そのため先に打設してた箇所に継ぎ足しながら進めていく必要があります。これを打継ぎといいます。

打設が完了したコンクリートが所定の硬さにまで固まるには1~3カ月の期間が必要です。その間、水和反応による硬化を滞りなく進めるためには、特に乾燥や凍結の防止が不可欠となります。そのため、養生によってコンクリートの保護を行います。
コンクリートの硬化が進み、所定の強度および所定の期間に達した段階で、取り付けていた型枠を解体します。その際、露出した箇所にも養生を実施しなければなりません。こうしてすべてのコンクリートが完全に固まったら施工の完了となります。

コンクリートの施工計画を立てる

施工計画とは、構造物を工期内に経済的かつ安全性や環境、品質に配慮しつつ、施工する条件・方法を具体的に策定したものです。コンクリートの施工を成功させるためには綿密な施工計画の立案が欠かせません。

施工計画はなぜ必要か

コンクリートの施工は、その精度がコンクリート構造物の強度や耐久性に直結します。たとえ使用しているレディーミクストコンクリートが高品質であったとしても、施工に問題があった場合には、できあがった構造物は品質としては不満足なものとなってしまうでしょう。一方でコンクリートの施工では工期や予算、品質、安全性などのさまざまな要素が絡んできます。与えられた工期や予算の範囲内で安全な施工や要求された品質を実現させるには、事前にどのように施工していくのか明確にしておかなければなりません。そのために施工前に策定するのが施工計画です。

施工計画立案の流れ

①事前調査
契約条件や現場条件、設計図書、現地状況などを確認します。

②施工技術計画の立案
基本の施工方針や全体の工程計画を策定し、それに基づきコンクリート工事、鉄筋工事、型枠工事などの個別の工事計画を検討していきます。

③仮設備計画の立案
コンクリート工事にかかる直接仮設(工事用道路など)や工事全般にかかる共通仮設(現場事務所など)について検討していきます。

④調達計画の立案
工事に必要な資材や建設機械、作業員の確保・調達について検討していきます。

⑤管理計画の立案
安全な工事を実現し、経済的かつ工期内で完成させるために、安全管理、品質管理、および工程管理を検討しいていきます。

構造物に関する検討事項

目的とする構造物の建設場所や用途、形状などによって、コンクリートの種類や機能、性質を選択していきます。
【構造物に関する検討事項】

検討事項の例 検討内容
建設場所はどこか ・寒冷地域→寒中コンクリート
・海岸地域→海洋コンクリート
構造物の用途 ・一般の土木構造物や住宅→普通コンクリート
・高温や低温、火気付近での使用→耐火性や耐熱性をもたせる
構造物の形状 ・ダムなどの大規模構造物→マスコンクリート
・高層建築物→高流動コンクリート
・コンクリートの打設位置や高さ、速度など
・締固め間隔や深さ、時間など

コンクリート材料に関する検討事項
セメントや骨材、混和材料などのコンクリート材料に関して、具体的な内容を検討します。
【コンクリート材料に関する検討事項】

検討事項の例 検討内容 具体例
セメントは何を使うか 種類、品質、メーカーなど ポルトランドセメント、混合セメント
フライアッシュセメントなど
骨材は何を使うか 種類、品質、寸法、産地など 粗骨材、細骨材、山砂、海砂、川砂など
混和材料は何を使うか 種類、メーカーなど ・混和材:フライアッシュなど
・混和剤:AE剤、AE減水剤

コンクリートに関する検討事項
コンクリートの種類や品質に関して、具体的な内容を検討します。
【コンクリートに関する検討事項】

検討事項の例 検討内容
使用材料による種類 普通、軽量、舗装コンクリートなど
施工条件による種類 寒中、暑中、流動化、水中、海洋コンクリートなど
要求性能による種類 ワーカビリティー、スランプ、空気量、水セメント比、
単位水量、単位セメント量など
コンクリートの品質 設計基準強度、塩化物量、アルカリシリカ反応の抑制方法など

施工に関する検討事項
施工条件に関して、具体的な内容を検討します。
【施工に関する検討事項】

検討事項の例 検討内容
工事時期 夏期、冬期、梅雨など
運搬、打設方法 ポンプ、バケット、シュートなど
打継ぎ 練混ぜから打設終了までの時間、打重ね時間間隔など
時間制限 単位水量、単位セメント量など
養生 方法、期間、型枠存置期間など
他工事との関連 建設機械配置、並行工事の工程調査など
現場周辺状況 騒音、振動規制、交通規制、近隣調整など

鉄筋工事

鉄筋コンクリート構造物の場合、最初に鉄筋を組みます。これは人体では骨格の役割があり、鉄筋を覆うようにコンクリートを成形することで耐久性の高い構造物ができます。

鉄筋工事の概要

鉄筋工事は鉄筋を配置するための工事で、この鉄筋の配置のことを配筋といいます。配筋の内容は設計図によって鉄筋の寸法や数量、種別などが決められているため、鉄筋工事とは設計図どおりに配筋することを言います。
配筋で使われる鉄筋は主筋と配力筋に分けられます。主筋は部位における基礎となる鉄筋で、主筋と直角に交わるように配置する鉄筋が配力筋です。
配力筋には鉄筋にかかる力を分散させる役割があります。なお、柱の場合の主筋を柱主筋、配力筋を帯筋(フープ筋)とも呼びます。また、梁の場合の主筋を梁主筋、配力筋をあばら筋(スターラップ)ともいいます。

鉄筋工事の流れ

鉄筋工事の基本的な流れとしては、まず主筋を配筋し、次に配力筋を配筋していきます。主筋同士、配力筋同士は平行して並べるのが基本ですが、その際の鉄筋の間隔のことをあきといいます。あきが狭すぎるとコンクリートの打設の際に骨材が引っ掛かったり、内部振動機を差し込むことができなくなったりするため注意が必要です。あきについてはコンクリート標準示方書やJASS 5で規定されています。

通常、主筋は下側、配力筋は上側に配置され、主筋と配力筋が交差する箇所は結束線(鉄線)で結束します。コンクリートの打設中に配筋が崩れると鉄筋とコンクリートの付着力が低下してしまうので、強固に組まれた配筋が不可欠です。そのため、結束線で主筋と配筋をしっかりと結びつけることが重要となります。

さらにスペーサーと呼ばれる器具を鉄筋に取り付けます。これは鉄筋を所定の位置に固定させるとともに、所定のがぶりを維持する役割があります。かぶりとは、鉄筋の表面からコンクリート表面までを最短距離で計測したときの厚さのことで、必要なかぶりを確保できないと鉄筋コンクリート構造物の強度低下の原因ともなります。鉄筋スペーサーにはさまざまな材質がありますが、型枠に接するスペーサーにはモルタル製またはコンクリート製の使用が原則です。このような流れで設計図どおりに鉄筋を組むことができたら鉄筋工事の終了です。

鉄筋を曲げる場合の注意点

鉄筋は曲げて使用する場合がありますが、急激な折り曲げは鉄筋のひび割れなどの原因になります。そのため、緩やかに曲げる必要があり、コンクリート標準示方書やJASS 5では曲げ方についても規定しています。また、曲げ加工は常温での実施が原則で、加熱してはいけません。加熱によって鉄筋の強度が変わってしまう場合があるからです。さらに、一度曲げた鉄筋を再びまっすぐに戻してはいけません。鉄筋は溶接しないことが原則ですが、状況次第では溶接して利用するケースもあります。溶接した鉄筋を曲げる場合には、溶接した箇所を曲げるのは厳禁です。

鉄筋をつなぎ合わせて使用する場合

施工の際に使用する鉄筋は、輸送や現場での作業性などを考慮して一定の長さ(定尺)に切断された状態のものです。しかし、箇所によっては定尺以上の長さの鉄筋を使用することは一般的で、そのような場合には鉄筋同士をつなぎ合わせる必要があります。この鉄筋同士の接合を鉄筋継手といいます。鉄筋継手の種類には重ね合わせ継手、ガス溶接継手、溶接継手、機械式継手などがあります。

〇重ね合わせ継手
鉄筋の端を平行に添わせて結束線で結束する方法
〇ガス溶接継手
鉄筋の末端同士をガスバーナーで加熱し、圧力を加えて一体化させる方法
〇溶接継手
鉄筋の末端同士をアーク溶接などで一体化させる方法
〇機械式継手
鉄筋の末端同士をスリーブ(カプラー)と呼ばれる器具を被せて接合する方法

型枠工事

型枠とは
型枠は構造物の形状に組まれた枠のことで、コンクリートを型枠に流し込むことでコンクリート構造物の形ができあがります。型枠がしっかりと設置されていないと構造物はいびつな形で仕上がってしまうため、型枠工事は極めて重要な工程です。型枠は、せき板、鋼管(ばた材)、セパレータ、緊結材(フォームタイ)などで構成されます。
せき板はコンクリートをせき止めるための板であり、直接コンクリートに触れる部分です。通常、合板やプラスティック板、鋼板などが用いられます。なお、合板は材料の樹種によってはメラミンなどの抽出物によりコンクリート面に着色や変色、硬化不良が生じる場合もあります。そこで、合成樹脂で表面加工した合板を用いることで、コンクリート表面への悪影響を低減できます。

鋼管はせき板の後ろに取り付ける補強材で、セパレータは2枚のせき板の間に取り付けてせき板同士の間隔を保持する器具です。このセパレータと鋼管を緊結材によって結合させます。このようにして強度を高めることで、型枠の変形を防いでいるのです。さらに、型枠の形状を維持するために型枠の外側に支柱を設置する場合もあります。この支柱を支保工といいます。