私たちの暮らしの中で、コンクリートはさまざまなところに使われています。ビルやマンションなど建物の基礎や壁、柱、道路や橋、トンネルなどの交通インフラ、河川やダムなど、生活を安全かつ便利にするために使われています。

コンクリートの現状

コンクリートは安価で使い勝手がよく、多くの建造物に使われています。現在のコンクリート建造物の多くは建造から50年以上が経過し、老朽化に伴うコンクリート片の剥離落下事故や、施工不良による早期劣化などが社会問題となっています。
コンクリート建造物は正しい知識と適切な施工によってはじめて高品質に仕上がります。しかし、誤った施工をしてしまうと品質が損なわれ、早期劣化を引き起こしかねません。

コンクリートは何でできているの?

セメント(粉体)に水を入れ練り混ぜるとセメントペーストができます。このセメントペーストに砂や砂利などの骨材を練り混ぜたものがコンクリートです。また、砂利を入れず、セメントペーストと砂だけを混ぜたものをモルタルといいます。セメントペーストやモルタルはコンクリートの補修に使われます。

コンクリートが時間とともに硬くなるのは、水とセメントが水和反応という化学反応を起こしているからです。コンクリートが固まる強度は、セメントと水の割合で決まります。セメントの割合が多いほど硬いコンクリートが、水の割合が多いほど緩いコンクリートができます。

コンクリートの性質と特徴

圧縮力には強いが、曲げや引っ張りには弱い。
コンクリートは圧縮力(押し潰そうとする力)には強いですが、曲げたり引っ張ったりする力には弱いのです。人が与える程度の力で簡単に破壊できるものではありませんが、地震などの膨大な力や劣化による耐久性の低下なども考慮し弱点を意識しておくべきでしょう。

自由な形に成形できる

固まる前のコンクリート(フレッシュコンクリート)は、やわらかく流動性があるため、型枠によりさまざまな形を作ることができます。しかし、複雑な形状や薄い形状の場合はコンクリートが充填されにくくなります。このような場合は砂や砂利のサイズを小さくしたり、コンクリートの流動性を高めるような添加剤を加えたり、型枠用の振動機を使いコンクリートが型枠のすみずみにいきわたるようにします。

火や熱には強いですが

コンクリートは燃えにくく、一般的に火に強いと思われています。セメント、砂、砂利という材料のため、木造建築物などのように燃えることはありません。しかし、600℃を超える高温状態になると強度は半分程度に低下し、1200℃以上になると溶解します。また、急激な加熱によりコンクリートの爆裂が起こります。このように高温状態に長時間さらされることにより悪影響が生じることとなります。
また、鉄筋コンクリートは高温過熱されると、コンクリートと鉄筋の付着が弱くなり、構造物の耐久性が低下します。

腐植には強いが酸には弱い

コンクリートは、水や空気に触れても腐食しません。しかし鉄筋コンクリートの場合、内部の鉄筋がさびることがあります。健全なコンクリートは強いアルカリの状態ですが、二酸化炭素の影響を受けるとコンクリート中の水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化し、アルカリ性を弱める中性化という現象が起こります。この中性化により内部の鉄筋がさびて腐食しやすくなります。

ひび割れしやすい

コンクリートにはひび割れがつきものです。これはコンクリートが硬く、変形しづらい性質のためです。ひび割れは主に乾燥によって起こります。コンクリート内部には適度な水分が含まれていて水和反応を続けていますが、乾燥により水分が減少すると表面が収縮します。これを乾燥収縮と言い、この収縮でひび割れが生じます。それ以外に、急激な温度変化や外から力が加わることによる変形、劣化現象などがあります。ただし、いずれのひび割れもコンクリートの施工や構造物の管理を適切に行うことで防げるケースがほとんどです。

固まるのに時間がかかる

コンクリートを流し込んでから経過した時間を材齢といいます。ある程度の硬さになるまでの材齢は約1ヶ月で、固まるのに日数を要します。

コンクリートの種類

材料による分類

コンクリートは、使われる材料によりセメントコンクリートとアスファルトコンクリートに分けられます
〇セメントコンクリート
水、セメント、砂、砂利を練り混ぜたもの

〇アスファルトコンクリート
石油から生成されるアスファルトを糊として、砂と砂利を固めたもの
※通常コンクリートといえば、セメントコンクリートを指します。

鉄筋の有無による分類

〇鉄筋コンクリート
コンクリートは、圧縮力には強く、引張力には弱いという特性があります。この引張力に弱いという弱点を補うためにコンクリート部材の引っ張られる部分に鉄筋を配置したものを鉄筋コンクリートといいます。鉄筋はアルカリ性の環境ではさびにくいため、コンクリートと鉄筋は、お互いの弱点を補うことができます。

〇プレストレストコンクリート(PCコンクリート)
引張力を補う鉄筋の代わりにPC鋼材という鉄筋の5倍以上の引張強度をもつ補強用鋼材を使用する場合もあります。PC鋼材を使用したものは、プレストレストコンクリート(PCコンクリート)と呼ばれます。PCコンクリートでは、あらかじめコンクリート部材に圧縮力を与えておくため、荷重がかかってもコンクリートに引張力を生じさせず、鉄筋コンクリートよりもさらにひび割れを防ぐ能力が高いといえます。

〇無筋コンクリート
鉄筋を使用せず、コンクリート構造物本体の重さで水圧や土圧などの荷重に対抗させるコンクリートのことで、重力式ダムなどがあります。

使用環境や用途による分類

〇寒中コンクリート
平均気温が4℃以下になることが予想されるときに使用するコンクリートで、凍結しないよう対策を講じます。

〇暑中コンクリート
日平均気温が25℃を超えることが予想されるときにコンクリートを打設する場合は、暑中コンクリートとしての施工が必要になります。土木学会が発行しているコンクリート標準示方書では、打ち込み時のコンクリート温度が35℃以下となるよう規定しています。気温が高い日の施工には他にも注意すべき点がたくさんあります。

〇マスコンクリート
質量や体積の大きいコンクリートを指します。厚さが80~100cm以上あるような大きな壁や、ダムや橋桁といった大規模な構造物を作る際に用いられます。
コンクリートは分厚くなると表面と内部に温度差が生じやすく、温度上昇により膨張する性質があるため表面上にひび割れが発生しやすくなります。コンクリート温度が上昇しにくい環境にしたり、小さなひび割れが起きても構造上問題ない作りにするなどの対策を講じる必要があります。

〇高強度コンクリート
通常のコンクリートよりも圧縮強度の高いコンクリートが高強度コンクリートと呼ばれています。高層建築やスパンを大きく確保したいときなどに使用されます。使用する水の量が少ないため、ひび割れなどの劣化現象が生じにくいという特徴があり耐久性もよくなります。

〇高流動コンクリート
フレッシュ時(練り混ぜ直後~凝固・硬化に至るまでの間)の分離抵抗性を損なうことなく高い流動性を有するコンクリートです。振動締固め作業を行わなくても材料分離を生じることなく型枠のすみずみに充填することが可能です。高流動コンクリートは練り混ぜ時に混和剤を加えることにより分離抵抗性を与え流動性を高めます。

〇水中コンクリート
水中に打設するコンクリートです。通常水中にコンクリートを打設すると材料が分離してしまうため、それを防ぐために特殊な混和材を用います。特殊な混和材を使用したコンクリートは、水中不分離コンクリートともいわれます。

〇海洋コンクリート
海水に接したり、直接波しぶきを受けたり、飛沫塩分の影響を受けるなどの環境で使われるコンクリートのことです。海水に含まれる塩分は、鉄筋コンクリートの鉄筋を腐食させる塩害の原因となったり、海水成分の作用でコンクリートの劣化が起こりやすくなります。また、波の衝突等による物理的な作用でコンクリート表面の損傷も発生しやすくなります。これらの劣化への対策を講じた施工が必要になります。

〇水密コンクリート
コンクリート硬化後の透水性が少なく(水を通しにくい)、水が拡散しにくいコンクリートです。プールや水槽など、圧力水が作用する場所に適用されます。使用する際は、空隙やひび割れが生じないよう注意が必要です。

コンクリートが固まるしくみ

水和反応でコンクリートは固まる

コンクリートは水とセメントの化学反応(水和反応)によって固まります。水とセメントが混ざり合うとガラス質の硬い結晶(水和物)が生成されます。これが糊の役割を果たして、時間が経過すると砂や砂利と一体となってがっちりと固まっていきます。このときの固まる強度はセメントと水の分量で決まります。セメントの割合が多い方がより強く固まり、逆に水の割合が多いと、コンクリートの強度は弱くなります。このコンクリートの強度に影響するセメントと水の質量の割合を、水セメント比やセメント水比といいます。

水和反応のメカニズム

セメントの原料は、石灰石と粘土、ケイ石、鉄などです。この材料を乾燥させて細かく砕き、よく混ぜてから高温で焼きます。焼き上がったものを急冷して粉にし、最後に石こうを混ぜます。石こうを混ぜるのは、セメントが早く固まりすぎるのを抑えるためです。焼いたときに、エーライト(ケイ酸三カルシウム)、ビーライト(ケイ酸二カルシウム)、アルミネート相(アルミン酸三カルシウム)、フェライト相(鉄アルミン酸四カルシウム)などが生じます。これらを総称してクリンカといいます。水和反応は、このクリンカと水が結びつくことにより生じる化学反応です。水和反応が起こると水酸化カルシウムやエトリンガイトという針状の結晶ができます。この物質が砂や砂利を結び付けて、コンクリートは硬くなります。

コンクリートの用途

コンクリートは、その耐久性から土木構造物に最も適した素材として昔から使われてきました。

土木における用途
〇一般構造用コンクリート
擁壁など
〇マスコンクリート
ダム、橋脚など
〇吹付コンクリート
トンネルなど
〇海洋コンクリート
消波ブロックなど
〇プレキャストコンクリート
水路など
〇プレストレストコンクリート
橋桁など

建築における用途
〇住宅
〇商業ビルやオフィスビル など