コンクリート配合設計の基礎知識

たとえ高品質の材料をそろえたとしても、その使用量が不適切だと必要としている性能のコンクリートはできません。その適切な使用量を決める工程が配合設計です。

配合と配合設計とは

実際にコンクリートをつくる際は、材料をどれくらいの割合や数量で用いるかが重要となります。このような材料の混合割合や使用数量のことを配合といいます。また配合設計とは、つくろうとするコンクリートの要求事項を満たすために配合の内容を決めることです。コンクリートの強度は、水とセメントの割合(水セメント比)で決まります。水が少なく、セメントが多いコンクリートほど強度が大きく緻密で耐久性があります。作業のしやすさを表すワーカビリティは、化学混和剤によって連行される緻密な気泡(エントレインドエア)と、水の量で決まるスランプによって調整されます。硬いコンクリートは型枠の中に詰め込むのが困難で、大きな粗骨材を使ったコンクリートは鉄筋のすき間に入りづらく、材料が分離して良質なコンクリートがつくれなくなります。このような点を踏まえて、要求事項を満たすよう配合設計をします。

配合設計の流れ

標準配合と現場配合

配合には、理想的な条件での骨材を用いた標準配合(示方配合、計画配合)と、現場の骨材の状態に合わせて補正した現場配合(修正標準配合)があります。理想的な条件とは、骨材が表面乾燥飽水状態(表乾状態)であり、細骨材と粗骨材が5mmふるいで完全に区分されていることを意味します。配合設計によって決められる配合は、基本的には標準配合です。つまり、骨材が理想的な条件の場合での配合ですが、実際には骨材を理想的な状態でストックできるとは限らないため、標準配合にしたがっても想定どおりのコンクリートができない場合もあります。そこで標準配合と同じ品質のコンクリートになるように現場配合で補正をしているのです。

配合設計の手順

配合設計では、誰が行っても同じ品質のコンクリートができるような配合としなければなりません。そのため手順や考え方が決められています。一般的な配合設計の手順は次のとおりです。

①粗骨材の最大寸法の選定
構造物の種類や部材寸法に応じた最大粗骨材寸法を選定します。鉄筋コンクリートの場合、鉄筋の配置や鉄筋の間隔、コンクリート表面から鉄筋までの距離(かぶり)などを考慮します。コンクリート標準示方書では、一般的なレディーミクストコンクリートの場合、粗骨材最大寸法は20mmまたは25mm、無筋コンクリートの場合は40mmと定められています。

②セメントの種類、スランプ、空気量の選定
硬化の速さや水和熱、化学抵抗性などを考慮してセメントの種類を選定します。スランプについては施工性を考慮し、所要のコンシステンシー(フレッシュコンクリートの変形または流動に対する抵抗性の程度)が得られる範囲でなるべく小さい値を選定します。空気量はフレッシュコンクリートの作業性(ワーカビリティ)の改善や、硬化コンクリートの耐凍害性を考慮して選定します。

③配合強度の決定
設計基準強度と構造物の重要性、環境条件や現場条件における強度のばらつきを考慮して選定します。コンクリートの強度とは圧縮強度を指すのが一般的です。圧縮強度のほかにも曲げ強度、引張強度、せん断強度、疲労強度、鉄筋との付着強度などがあります。

④水セメント比の決定
所要の強度から定まる水セメント比と、耐久性から定まる水セメント比のうち小さい方を選定します。小さいということは、水の重量に対してセメント量が多いことを示します。

⑤単位水量、混和剤の決定
要求されるワーカビリティが得られるように単位水量を決定します。コンクリートの品質は水の量で決まり、水の量が少ないほど緻密なコンクリートとなります。そのため、所要の品質が得られる範囲内でなるべく小さい値とします。

⑥単位セメント量、混和材の決定
単位セメント量は、水セメント比(④)と単位水量(⑤)から算出します。混和材料は、コンクリートの品質を改善するために加える材料です。耐久性や施工性の向上など、必要に応じて選定します。

⑦細骨材量、粗骨材量の決定
細骨材量は、全骨材の容積に細骨材率を乗じて定めます。粗骨材量は、全骨材の容積から細骨材容積を引いて求めます。細骨材を減らすと骨材全体の表面積が減り、同じスランプを得るために必要な単位水量が減少します。そうなると経済的に良質なコンクリートとなるため、細骨材率はなるべく小さい値とします。細骨材を減らすということは粗骨材を増やすことになります。細骨材率が過少となると材料分離を起こし、打設不良の原因となることがあるため、最適な細骨材率を選定する必要があります。

⑧試し練りの配合計算
試し練りの配合計算は、1㎥のコンクリートをつくるときの各材料の割合や使用量を表す標準配合表より、実際に練り混ぜる量を計算します。

⑨試し練り
試し練りは、配合設計の手順に従った計算により算出した量で練り混ぜますが、実際に試し練りを行ってコンクリートをつくり、品質試験で目標との差を確かめる必要があります。

⑩試し練り結果の確認
試し練りの結果、目標の品質が得られなかったときには、配合の内容を補正し目標の品質に近づける必要があります。補正後に再度試し練りを行います。そして条件を満たすことができたら配合設計基準値が決定となり、配合設計は完了です。

コンクリートの強度

4種類の強度

コンクリートの強度では主に圧縮強度、引張強度、曲げ強度、付着強度の4種類が使われます。
〇圧縮強度
コンクリートが圧縮力を受けて破壊する際の強さを応力度(N/㎟)で表した値です。破壊時の最大圧縮荷重(N)を供試体の断面積(㎟)で割って算出します。コンクリートの強度を示す最も一般的な指標であり、コンクリートの構造物の構造計算にも使用されます。

〇引張強度
引張力を受けて破壊する際の強さ。

〇曲げ強度
曲げの力を受けて破壊する際の強さ。

〇付着強度
鉄筋コンクリートにおいて埋め込まれた鉄筋の引張力を付着面で割った値です。異形鉄筋の場合、鉄筋の表面に凹凸をつけて摩擦抵抗を大きくさせているため、表面に凹凸のない丸鋼より付着力は大きくなります。

4つの中で、コンクリートが最も弱いのは引張強度です。
圧縮強度を基準とすると、引張強度は1/13~1/10程度、曲げ強度は1/7~1/5程度の大きさです。
そのため、鉄筋コンクリートの場合、構造設計計算における引張強度はコンクリートでは無視し、鉄筋に受け持たせます。

配合強度

配合強度の求め方

配合強度とは、コンクリートの構造物の部材設計の際に基準とした設計基準強度(呼び強度)に割増強度を加えた強度のことをいいます。
配合強度 = 呼び強度 + 割増強度
呼び強度は、レディーミクストコンクリートを注文するときの強度区分のことです。通常は設計基準強度を呼び強度とします。呼び強度は生コン工場で標準水中養生(水中に供試体を入れておく保管方法)を行い、既定の材齢で強度を保証するものです。
割増強度とは、荷卸し地点で採取した供試体の強度が低下していた場合でも呼び強度の強度値以上を保証できるように、生コン工場が品質の変動を確率的に予測して割増した強度のことです。
配合強度は、基準とするコンクリートの材齢28日(7日)における圧縮強度で表すものとし、実際に生コン工場が練り混ぜを行う際の目標強度となります。なお、JIS規格では強度について以下のように定めています。

①1回の試験結果は、購入者が指定した呼び強度の強度値の85%以上でなければならない。
計算式で表すと、配合強度 = 0.85 × 呼び強度 + 3σ

②3回の試験結果の平均値は、購入者が指定した呼び強度の強度値以上でなくてはならない。
どちらかのうち、大きい方の数値を配合強度とします。

水セメント比

水セメント比とセメント水比

水セメント比とは、コンクリート中の骨材が表面乾燥飽和状態にあると仮定した際の、セメントペースト内におけるセメントの質量(単位セメント量)に対する水の質量(単位水量)の割合比のことです。単位水量をW、単位セメント量をCで表すことから、水セメント比のことをW/Cとも表記します。水セメント比が大きいほど、セメントペースト内での水の割合が多いことを意味します。水セメント比が小さくなるほど、強度は大きくなります。圧縮強度または曲げ強度をもとに水セメント比を定めるには、工事に使用するコンクリート材料を用いて、水セメント比の逆数にあたるセメント水比(C/W)と、圧縮強度との関係を試験によって求めるのが原則です。

単位量

単位量とは

単位量とは、コンクリート1㎥をつくるときに用いる各材料の質量のことです。
単位セメント量(C)、単位水量(W)、単位細骨材量(S)、単位粗骨材量(G)、単位混和材料(F)があります。1㎥の中には空気量も含まれるので、厳密には1000×(1-空気量%)の容積となります。

単位セメント量

単位セメント量は、水セメント比と単位水量から求められます。
単位セメント量 = 単位水量 / 水セメント比
また、セメントの容積は次の式で求めます。
セメントの絶対容積 = 単位セメント量 / セメントの密度
絶対容積とは、各材料の質量をその材料の密度で割った値のことです。

単位水量

単位水量は、所要スランプや水セメント比を考慮して、作業ができる範囲内でできるだけ小さくなるように決めます。

単位細骨材量と単位粗骨材量

単位骨材量は、コンクリート1㎥から単位水量と単位セメント量の絶対容積と空気量を差し引いて求めます。
単位細骨材量(Sg)およびその絶対容積(Sv)は、調合設計の基礎方程式をもとに求めます。
Sv = 1000 -(Wv + Cv + Gv + Av)
Sg = Sv × 細骨材の密度
Wv:水の絶対容積
Cv:セメントの絶対容積
Gv:粗骨材の絶対容積
Av:空気の絶対容積
単位粗骨材量(Gg)およびその絶対容積(Gv)は、単位粗骨材かさ容積から求めます。単位粗骨材かさ容積とは、コンクリート1㎥をつくるときに用いる粗骨材のかさ容積であり、単位粗骨材量をその粗骨材の単位容積質量で割った値です。
Gv = 単位粗骨材かさ容積 × 粗骨材実積率 / 100
Gv = Gg / 粗骨材の絶乾密度
細骨材率を小さくすると、砂分の減少により骨材の表面積の総和が少なくなり、単位水量も減少することができるため、耐久性の高い経済的なコンクリートが得られます。

粗骨材の最大寸法

コンクリートの骨格となる骨材の中でも、粗骨材の寸法はコンクリートの品質にも大きな影響をもたらすため、最大寸法を適切に選定する必要があります。

粗骨材の最大寸法の選定

コンクリート構造物の部材の大きさや鉄筋の間隔などによって使用できる粗骨材の最大寸法が定められています。大きな粗骨材を使用すると練り混ぜ水を減らすことができ、コンクリートの乾燥収縮を低減できます。粗骨材の最大寸法は、ふるいを用いてふるい分けを行い、質量で90%以上通過するふるいのうち、最小のふるいの呼び寸法で表します。レディーミクストコンクリートの配合設計や注文、鉄筋コンクリートのかぶりなどに用いられる重要な値です。
※呼び寸法とは、製品の実寸や設計上の寸法とは別で、一般に呼びやすく切りのよい近似の数字で示したものです。

スランプと空気量

スランプと空気量も配合設計の対象としてとても重要な要素です。

スランプとスランプフロー

スランプおよびスランプフローは、どちらもレディーミクストコンクリートの施工性の指標となるものです。地面に水平に設置した鉄板の上に高さ30cmのスランプコーンという円錐台形の容器を置き、所定の方法でコンクリートを詰めた状態からスランプコーンを引き上げると、円錐台形上のコンクリートがむき出しになります。そして、コンクリートは形を保つことができず、つぶれていきます。このときの上面の下がり量がスランプです。流動性の高い(やわらかい)コンクリートほどスランプは大きくなります。スランプの大きいコンクリートは施工しやすいものの、材料分離が生じやすいという欠点もあります。一方、スランプの小さいコンクリートの場合は施工難度があがるものの、耐久性などの向上が見込めます。スランプフローは、スランプコーンを引き上げたときのコンクリートの広がりを測定したものです。高強度のコンクリートのように流動性が非常に高いコンクリートの場合、スランプの測定が困難なため、スランプフローを流動性の基準値としています。

空気量

コンクリートの中には、エントレインドエアと呼ばれる微細な気泡が含まれています。コンクリートの全体積に占めるエントレインドエアなどの空気の割合のことを空気量といいます。エントレインドエアの添加は、混和剤のAE剤やAE減水剤などの利用が一般的です。適切な空気量を維持することは、耐凍害性の向上やワーカビリティの改善につながるため重要な要素です。ただし、空気量が多すぎると圧縮強度の低下を招くため注意が必要です。また、骨材内部に存在する空気については、空気量には含めません。

コンクリートの試し練り

各種要素についての選定・決定ができたら、その内容に沿ってコンクリート製造をテストします。これを試し練りといい、試し練りで予定通りの結果が出たら配合設計は完了です。

試し練りの目的

配合設計によって求めた配合結果が、要求されたコンクリートの品質、つまりスランプや空気量などのコンクリートの性状や圧縮強度と目標値が合っているかどうかを調べるために、試し練りという作業を行います。試し練りの結果、要求を満たす品質のコンクリートができあがれば配合設計の完了となります。

試し練りの方法

試し練りでのコンクリートのつくり方についてはJISで規定されています。また、試し練りは試験室での実施が基本です。まず材料の準備として、練り混ぜる前に材料の温度を20±3℃に保つようにしておきます。次に材料の計量では、材料別に質量で計量します。特に計量した骨材は、練り混ぜるまでに含水状態が変化しないように注意が必要です。コンクリートの練り混ぜは、温度20±3℃、湿度60%以上に保たれた試験室で行うのが望ましいとされています。また、コンクリートの1回の練り混ぜ量は、試験に必要な量より5L以上多くし、ミキサーの公称容量の1/2以上の量にします。ミキサー内部にモルタル分が付着するため、練り混ぜるコンクリートと等しい配合のコンクリートをあらかじめ少量練り混ぜておき、ミキサー内部にモルタル分が付着した状態にしておきます。練り混ぜ時間は、一般的に可傾式ミキサーの場合は3分以上、強制練りミキサーの場合は1.5分以上とします。

試し練りの結果判定

試し練りの結果は、JIS A 5308 の品質で規定されている荷卸し地点での許容差内にあてはまるかどうかで判定します。

配合の調整方法

試し練りによってつくられたコンクリートの品質が、要求された結果を得られなった場合、その原因を確かめたうえで必要条件を満たすよう補正を行います。コンクリートの配合は互いに相互関係があり、1つの項目を満たすように補正を行うとほかの項目が条件を満たさなくなるというようなことが起こりやすいため、注意しなければなりません。軽量コンクリートの単位容積質量値がどうしても大きくなりすぎるような場合、軽量骨材を当初選定した材料より密度の小さい材料に変更するといった使用材料の変更を行う必要も出てきます。しかし、骨材を変更すると、単位水量や細骨材率などさまざまな影響を及ぼします。変更事項が配合結果にどのような影響をおよぼすかは次のとおりです。

種類変更事項配合ヘの影響
細骨材率粗骨材の実積率を大きくする骨材のすきまが小さくなりモルタル率が減り、同一スランプを得るための細骨材率が減る。
細骨材の粗粒率を大きなものに変える細骨材が粗粒になるとスランプは大きくなるため、同等のワーカビリティを確保するためには細骨材率を大きくする。
水セメント比を大きくする単位セメント量が小さくなり、単位水量が増えるため、やわらかくなりスランプが大きくなる。スランプを同一にするためには細骨材率を大きくする。
空気量を大きくする流動性が増してスランプが大きくなるため、細骨材率は小さくなる。
単位水量粗骨材の実積率を大きくする骨材のすきまが小さくなりモルタル量が減り、同一スランプを得るための単位水量が減る。
粗骨材の最大寸法を大きくする骨材のすきまが小さくなりモルタル量が減り、同一スランプを得るための単位水量が減る。
空気量を大きくする(AE剤を使用)流動性が増してスランプが大きくなるため、同一スランプを得るための単位水量が減る。
細骨材率を大きくする細かな粒子が増えるとスランプが小さくなり、必要な単位水量は大きくなる。
川砂を砕砂に変える砕砂は川砂より実積率が小さく、粗粒率は大きい。骨材のすきまが大きくなり、必要な単位水量が大きくなる。

コンクリートの現場配合

配合設計で配合が決まっても、現場ではさまざまな条件が存在するため、そのままでは正しい品質のコンクリートができないことが多いです。その場合は、現場配合によって修正を行います。

現場配合の重要性

配合設計によって決まった配合(標準配合)どおりにコンクリートの品質が得られるように、現場における材料の状態および計量方法に応じて修正した配合が現場配合です。気候や材料の状態などが基準試験値や試し練り時と大きく変わる場合、配合を修正しなければよいコンクリートにはなりません。特に骨材が野積みされた状態の場合、天候により含水率が常に変化するため、使用水量の調整が必要となります。これらを適切に修正した配合が現場配合です。

現場配合の修正方法

実際の現場において気候や材料の状態などが標準配合と異なる場合、次のような方法で修正します。
〇骨材の表面水率が変化した場合
骨材の表面水率が増えた場合は、骨材の表面水量の増加量を算出し、骨材の計量値に表面水量の増加分を加算します。
〇単位水量の補正
骨材の表面水量が増加した場合、単位水量から表面水量の増加分を減らします。

配合設計の計算方法

配合設計で各種要素を決めるためには、計算による数値の算出が必要となります。これを配合設計といいます。

配合設計の基本

配合設計を知るうえで基本となるのが次の公式です。
〇水セメント比 = 水の質量(単位水量) / セメントの質量(単位セメント量)
〇単位水量 = 水セメント比 × 単位セメント量
〇単位セメント量 = 単位水量 / 水セメント比
〇コンクリートに含まれる材料容積 = セメント容積 + 水の容積 + 空気量の容積 + 骨材の容積
〇全骨材容積 = コンクリートの容積 - セメントの容積 - 水の容積 - 空気量
〇細骨材率 = 細骨材容積 / (粗骨材容積 + 細骨材容積)
〇単位細骨材量 = 細骨材の表乾密度 × 細骨材容積
〇単位粗骨材量 = 粗骨材の表乾密度 × 粗骨材容積
〇表面水率 = 表面水量 / 表乾質量 × 100
〇水の計量値 = 単位水量 - 細骨材の表面水量 - 粗骨材の表面水量
〇単位容積質量 = 単位セメント重量 + 水の重量 + 細骨材の重量 +粗骨材の重量

理想的な配合設計

配合設計とは、目的に合ったコンクリートを製造するために、セメント、水、骨材、混和材料について混合割合や使用数量を決めることです。ここでいう目的に合ったコンクリートとは、要求された強度、耐久性、施工性を兼ね備えた経済的なコンクリートのことをいいます。強度はセメントと水の比率で決まります。水の量に対してセメントの量が大きいほど強度は大きなものとなります。つまり、必要な強度が得られる混合比を保ちつつ、生コン1㎥中のセメントと水の量を極力少なく配合することで、要求された強度のコンクリートが経済的につくれるのです。しかしながら、水を少なくするとコンクリートはぼそぼそで固くなり、施工性が悪く、できあがった構造物の品質低下につながります。

そこで、必要なスランプ量を得るための水量が決まります。この水量は、水和反応用とワーカビリティーの改善用に働きます。また、ワーカビリティーの改善のために空気の量が重要となります。混和材料のうちの混和剤(AE剤)の働きで、コンクリート中に微細な空気泡(エントレインドエア)を連ねさせ、ボールベアリング効果でワーカビリティーをよくしたり、耐凍害性を向上させたりすることができます。この空気量は、単位水量を少なくすることに貢献します。しかし、空気量が過剰に多くなりと強度の低下や乾燥収縮が大きくなることから、JISでは一般的に3~6%に規定しいています。

骨材の配合については、要求されるワーカビリティーが得られる範囲で、全骨材容積に対する細骨材容積の割合(細骨材率)をなるべく小さくするように決めます。これは単位水量を少なくすることにつながります。粗骨材についても、実積率が大きいものを選定することですきまが減り、単位水量を減らすことができます。実積率が大きい骨材とは、粗骨材最大寸法が大きい骨材や、角が取れた粒形のよい骨材です。このように良質な骨材を使用することが、単位水量や単位セメント量を少なくすることへと結びつきます。つまり、単位水量を減らす努力が理想的なコンクリートの配合設計につながっていきます。